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AoiMoeのおはなし

アイカツロス症候群のリハビリ活動二次創作

星宮いちご、結婚します! ~ 大空あかり編

ここからは、前回(いちご、結婚するってよ - AoiMoeのおはなし)の落穂拾い的な奴。星宮先輩がいろんな人のところに結婚の報告に行く体です。

大空あかり編

(ピンポーン)

「……はーい、って、星宮先輩?」

インターフォンごしに馴染みのある声が聞こえてくる。

「夜分遅くごめんね、ちょっとお話があるんだけど……」

「ちょ、ちょっと待ってください、今開けますね」

(パタパタパタ、ガチャ)

「星宮先輩、こんばんは」

「こんばんは。こんな夜遅くに悪いんだけど、いま、ちょっと時間あるかな?」

「ええ、この後はもう、お風呂にでも入って寝るだけですから。あ、玄関先で立ち話も何ですから、上がってください」

「ごめんねー、じゃあちょっとお邪魔しまーす」

スリッパを勧められ、パタパタと歩いてリビングに案内される。

「じゃあ、今お茶を入れますんで、そこに座っていてください」

「おかまいなくー」

しばらくして、ティーセットを持ったあかりが戻って来た。

「お待たせしました」

「ありがとうね。この部屋に来るのも久しぶりだなー。そういえば、今日はスミレちゃんは?」

「えーと、お仕事で遅くなるみたいで。慣れない仕事で大変みたいです」

ポットやカップを並べながら答える。

「あー、もしかして、例の『氷上スミレ、声優初挑戦!』って奴?」

「はい、それです。やっぱり、普通のお芝居なんかとは勝手が違うらしくて、何度もリテイクを食らってしまうみたいで。毎回遅くまで収録してますね」

「私もあのアニメの第一話を見てみたけど、それにしても、あの役、スミレちゃんにバッチリはまってるよね。元はお金持ちのお嬢様で、今は没落してしまったものの、いかにもお嬢様って感じの上品な話し方が、スミレちゃんにぴったり」

「見た目も、紫髪で、長髪のストレート、そして前髪パッツンですもんね」

「ああいうの、姫カットって言うらしいよ」

「へー、そうなんですね。そういえば、スターライト学園で出会った最初のころ、スミレちゃんも……」

という感じで、しばらく他愛もない雑談をしていた。

「ところで、星宮先輩のお話って……」

「ああそうそう、ごめんね、長々と関係のない話をしてしまって」

「いえ、私も楽しいですから」

「実はね、このたび、わたくし、星宮いちごは、晴れて結婚することとなりました」

……一瞬の沈黙。

「え、ええーーーーーーーーーー!!??」

例の大げさな驚き方をするあかり。

「もう、あかりは大げさだなあ」

「け、結婚ですか。それはまた急な……」

「うん。まだ出会って半年くらいなんだけど、結婚するならこの人だなーって思っちゃって」

「す、すごいですね……」

「まあ、みんなすごく驚くよね。驚かなかったのはうちのママくらい」

「でも、すごく星宮先輩らしくていいと思います!」

「ありがとね。やっぱりこの話は、あかりには直接話したくって、こうして今日はお邪魔したんだ」

ちなみに、あかりの家は私たちの家の下の階にある一室で、スミレちゃんと一緒に暮らしてる。私たちソレイユが卒業後にルームシェアをしたら、その話が学園中に広がってしまって、今では卒業後に同じようにルームシェアをする子たちが増えちゃった。これもまた伝統。このマンションはスターライト学園の隣接地にある一棟で、私たち以外にも多くの学園出身者が住んでいるので、巷ではアイカツマンションって言われてるらしい。

「そう言っていただけるとうれしいです。それで、星宮先輩、お相手の方はどういう?」

「まあその話はおいおいするとして……それにしてもあかり、また私のこと『星宮先輩』って呼んでる」

「だ、だって、あれは期間限定のユニットだったので、呼称も期間限定かなと……先輩は先輩ですし、呼び捨てにするのは気まずいというか……」

「えー、よそよそしいよー、ちゃんと『いちご』って呼んでよー」

「す、すみません、じゃあ失礼して……いちご!」

「うんうん、そうじゃないと」

「うう……」

でも、《紫色の視線》が怖いから、「星宮先輩」でもいいか……。

「え、何か言いました?」

「ううん何でもない。そういえば、最近、大学の方はどう?」

「ええ、お仕事との両立は大変ですけど、頑張ってやってます。どんなことにも一生懸命頑張るのが、私のとりえですから」

「そっかー。私は大学には行ってないからなあ。うちのあおいも大学に通ってたけど、やっぱりレポートとか多くて大変そうだったもんなー」

「そうなんですよぉ。それに私は理系なので、実験やら演習やら、そういう実際に手を動かさないといけない授業も多くて」

「お天気の勉強だっけ?」

「ええ。正確には地球惑星物理学科って言うんですけど」

「すごいよねー、私には、もうその名前からしてチンプンカンプン」

「えへへ……都内には、他にあんまり気象の勉強ができる大学が無かったのと、パパが務めている大学でもあったので、すごく頑張って入試勉強して、かなり無理して入りました」

「理系だと、やっぱり周りは男の子ばっかり?」

「ええ、まあ、気象関係は女の子もそれなりには居るんですけど、やっぱり圧倒的に多いのは男の子ですね。スミレちゃんにも『いい、あかりちゃん、あなたはアイドルなんだから、周りの男の子たちには気を抜かずに注意するのよ!』って言われました」

「うははは」

「でも、意外と男の子たちはみんな私がアイドルだと気が付いてないみたいで、あんまり話したことはないです。女の子たちとは普通に仲良くなってますけど」

「そっかー。……そうだ、男の子といえば、あかりにはそういうの無いの?」

「えっ、そういうのって……」

「もちろん、好きな男の人とか、いないの?……って話」

「えー、居ませんよ、そんな人」

みるみるあかりの顔が赤くなる。

「ふーん。……じゃあ、瀬名さんとかどうなの?」

ボッ、と音を立てて、あかりの頭から湯気が出た……ような気がした。

「い、いえ、瀬名さんとは普通にお仕事上の関係で全然そんな感じじゃ……」

「えー、そうかなあ……。そういえば、こないだお仕事の打ち合わせで、天羽さんと一緒にドリーミーロッジに行ったんだけどね」

「はい……」

うつむきつつ上目づかいにこっちを見てくるあかり、ちょっと可愛い。

「その時、瀬名さんの作業机の上をチラッと見たら、あかりの写真が飾ってあって」

「……ええーーーーーーーーー!!!!」

また例の大げさな驚き方をするあかり。

「だから、瀬名さんも、その、まんざらでもないんじゃないかなあ、って思ってたんだけど」

「そそそそそそ、そんな……た、多分仕事の参考に見ていただけなんじゃ……」

「えー、でも、仕事の参考に、私服で満面の笑顔のあかりの写真を飾ったりするかなあ」

「……瀬名さん……」

「その感じだと、あかりもまんざらでもない感じだね」

「……うーーー……」

「それじゃあ、わたくし、星宮いちごが、一肌脱いで、恋の指南でも……」

(がちゃっ)

「ただいま帰りましたわ。ふう、今日も一日大変でしたわ。あら、あかりさん、誰かお客様ですの?」

「あっ、スミレちゃん、お帰りー。今ね、星宮先輩が来てるんだ」

「スミレちゃん、おじゃましてまーす」

「あっ、いちご様でしたか、このところ御無沙汰していて申し訳ありません」

「……スミレちゃん、何か話し方がおかしいよ」

「……あっ、ごめんあかりちゃん、つい、さっきまでやってたお芝居のしゃべり方が出ちゃって。星宮先輩もすみません」

「んもー」

「フフッヒ」

「それでね、スミレちゃん、今度、星宮先輩がねー」

「あ、あかりちゃん、その話は私から直接……」

こうして夜は更けていった。